「献身が生んだ出会い」 作：ひよ
私は地方都市で看護師をしている女性です。
同い年の周りの子は結婚しているのに、私は独身です。
結婚願望がないわけではありませんが、とにかく男運がないのです。
結婚はあきらめてこの仕事のために生きていく…
そう決めていました。
あの人が入院してくるまでは。
桜が満開で、暖かな日でした。
車の事故で両腕を怪我した、三十代後半の石川さんが入院することになりました。
私はこれから退院するまで、彼をサポートしていくことになりました。
私があいさつすると、石川さんはにこやかに挨拶を返してくれます。
「ご不自由かと思いますが、なんでもおっしゃってくださいね」
「ありがとうございます。これからお世話になります」
石川さんは両腕をギプスで固定しているので、日常動作に大幅な制限があります。
それに、普段はギタリストをしていると聞いて私は気の毒で仕方がありませんでした。
きっと石川さんは日常生活の不自由さに加え、入院によるストレスでかなりナーバスになっているに違いありません。
それでも石川さんはいつも明るく振る舞って、私たちに気を使ってくれました。
こちらは看護師で彼は患者さんなんですから気を使わなくてもいいのに、そういう性格なのかもしれません。
そして毎日石川さんと接するうちに、私はだんだんと彼に惹かれていくようになりました。
気遣いができて、でも押しつけがましくなく、一緒にいてとても楽しい人です。
これまで私の周りにはいなかったタイプの男性に、私は恋をしてしまいました。
看護師が患者さんに恋をするなんてご法度です。
それでも惹かれてしまったものは仕方ないのです。
ある日、石川さんの病室に行くと、彼は眠っていました。
私はじっと彼の寝顔を眺めます。
「石川さん」
小声で呼びかけてみても、反応はありません。
私はそっと彼の髪を撫でました。
きれいな横顔に見惚れ、次に形のいい唇に目が行きました。
そして彼の裸体を想像して、私は興奮してしまいました。
こんなに素敵な方とエッチできたらどんな気分なのかしら……
そんな不埒な考えはどんどん膨らんでいきます。
この場でキスしてもばれないかしら……
私は彼の唇にそっと顔を近づけます。
とうとう唇どうしが触れ合いそうなとき、石川さんが目を覚ましました。
「あっ……」
思わず声が出てしまいました。
「後藤さん？」
石川さんは驚いた顔で私を見ていました。
「す、すみません。つい見とれてしまって」
私は慌てて弁解しました。
石川さんはいつもの穏やかな表情に戻って言いました。
「いえ、いいんですよ。少し驚いただけで……でも、後藤さんって近くで見るともっとお綺麗ですね」
「えっ、そんなことないです！」
思いもよらない言葉に私は驚きました。
もし両想いだったらどんなにいいでしょうか。
石川さんに褒められたことで私は有頂天になってしまいました。
「ごめんなさい。いけないってわかっているんですけど……でも石川さんのことが好きなんです！だからあんなことを……許してしてください」
私は勢い余って、つい自分の想いを告白してしまいました。
「後藤さん……」
石川さんも驚いた様子で私を見ています。
ああ、もうおしまいだ……
私の目から涙がこぼれ落ちます。
「僕も後藤さんのことが気になっていました。こんな僕でよければ、付き合ってください」
「えっ！？」
まさかの言葉に私は大きな声を上げてしまいました。
「無事に退院できたらデートしてください。あなたより魅力的な人は会ったことがありません」
「ほ、本当ですか？噓じゃないですよね？」
「本当です。献身的なあなたがずっと好きだったんです」
石川さんはきっぱり言い切りました。
ああ、神様……私は夢を見ているんでしょうか？ この私が石川さんと恋人同士になれるなんて……
そんな幸せがあっていいのでしょうか。
「後藤さん、あと二週間で退院できるまで待っていて下さい」
「はい、それまでは皆にばれないようにしないと……」
「それもそれで面白いかもしれませんね」
そう言って彼はくすっと笑いました。
そして二週間後、石川さんは無事退院しました。
その日の夕方、私たちは駅前で待ち合わせをして一緒にショッピングをしてレストランに行き、デートを楽しみました。
病院の中で見るよりもずっと魅力的でした。
ああ、石川さんと一緒にいられるなんて夢みたい……
私は彼に寄り添って歩き、一緒にいられる幸せに酔いしれました。
「後藤さん、いいですか？」
そう言って彼はラブホテルの方面に歩き出しました。
私は顔が赤くなりそうでしたが、黙ってうなずきました。
ホテルの部屋に入った私たちは、すぐに激しくキスをしあいました。
「ん、んっ……！」
まだキスだけなのに想像して一人でするよりもずっと気持ちよくて、私は声が漏れてしまいます。
石川さんの手が私の服を脱がしていきます。
「あ、あの……シャワーを……」
「いいですよ、後藤さんの体で汚いところなんてないよ」
そう言って彼はまた私にキスしました。
ああ、この人ってこんなことを言う人なんだ……
私は今まで知らなかった彼の一面に驚いてキュンとしました。
「は、恥ずかしいです……」
私は早速脱がされて、とうとう全裸になってしまいました。
「綺麗だよ」
石川さんも自分の服を脱ぎ捨て、私の乳首を口に含みます。
「んああっ！」
気持ちよくて、私は思わず声が出てしまいました。
彼は私の乳首を舌でいじってきます。
ああ、気持ちいい……
私はもうそれだけで達してしまいそうでした。
そして彼の手が私の大事なところに伸びます。
「あ、ああん……！」
もうびしょ濡れになっているのがわかっていました。
彼の指が私の割れ目をなぞり始めます。
そして私の感じる部分を執拗に責めてきました。
私は気持ちよくて、気が遠くなっていきます。
「ああん、もうっ、ん……！」
でもまだ石川さんは私の中で指を動かしています。
もうこれ以上されたらおかしくなっちゃう……もうだめ！
そう思ったとき、彼の指が止まります。
ああ、どうして？もっとしてほしいのに……
私はもう限界でした。
「石川さん、お願い……もう焦らさないで」
「後藤さん、僕も我慢できない」
彼は私の両脚を広げて、硬いものをあてがいました。
もう何があってもいい、彼と一つになりたい！
そんな考えでいっぱいの私の中に彼のものが入ってきました。
「あああっ！」
快楽が電流の様に全身を走ります。
そして彼はゆっくりと動き始めました。
「ああ、んああっ！」
一気に奥まで突かれて私は声を抑えられません。
ゾクゾクとした感覚に、私は泣きそうなくらい気持ち良くなっていました。
「ああ、んああっ！いいっ！」
もう私は夢中でした。
石川さんが激しく腰を振ります。
その度に私の中がかき回されて、意識がとびそうな快楽に包まれました。
「石川さん、好きっ！」
もう私は何も考えられません。
ただただ彼を求めて、そして彼も私を求めていました。
「後藤さん、僕も好きだよ」
彼がぎゅっと抱きしめてきます。
ああ、幸せ……
私はもう何も考えられなくなっていました。
もうどうなってもいい……このままずっと石川さんと一緒にいたい！
「もう、いきそう……！！」
「お願い、中に出してっ！」
私はそう言って彼にしがみつきます。
「ああ、後藤さんっ！！」
彼が私の奥深くに止まり、そして達しました。
ああ、出てる……
私の中に熱いものがあふれ出ています。
そして私たちはつながったまま抱き合いました。
「後藤さん、愛してるよ」
「私も愛してます」
私たちは見つめ合いそう言って、唇を重ね合いました。
それから一年が経った今、私たちは結婚することになりました。
同僚たちはとても驚いていましたが、無理もありません。
私たちもこんな日が来るとは思ってもみませんでした。
「そろそろ式場に行こうよ」
「はい！」
私たちは手をつないで玄関を出ます。
外は暖かな春の日差しが降り注いでいました。
あの出会いの日のように……
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みんなの声
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