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愛人計画~部下の嫁~(官能小説版)

脅され

元小説はこちら→https://huroku-ch.com/699

 勝ち組と呼ばれる人間は実際に存在する。

 私は隆夫。53歳で小さな会社を経営している。

 卸業者のため閑散期と繁忙期では忙しさに雲泥の差がある。繁忙期には臨時でパートを雇うことがある。今年もその繁忙期が来た。

 私は繁忙期を利用して、ある計画を水面下で実行しようとしていた。陽光差し込む社長室で私は思わず笑みを漏らす。本当は豪快に笑いたかったが、それは計画が成功してからだ。焦らずに行こうと心に留めた。

「金本君。君、今年も頼んでいいかな」

「はい。妻も了承済みです」

 この金本君の妻、美紀さんは毎年臨時パートとして、会社の繁忙期を共に乗り越えてくれる人財だ。

 美紀さんはとても美しい。うりざね顔に大きな瞳、鼻筋が通っていて、唇は薄い。一見薄幸そうな印象を与える女性である。男性が「守りたい」と思い、庇護欲を掻き立てられるのである。

 私は美紀さんに対して、並々ならぬ感情を持っている。

 昨年、美紀さんを社長室に入れたことがある。彼女に秘書業務の真似事をさせるためだ。

「美紀さん、この資料はコピーして」

「はい」

 彼女が席を立ったところで私は彼女の行く手を阻んだ。

「あの」

 戸惑いの声が聞こえる。私は近くで香る彼女の芳香に酔ってしまいそうになった。

 彼女の長い髪をひとすくいする。髪は丁寧に手入れがされているのか、光沢を放ちながら私の手から滑り落ちた。

「あの、社長」

 彼女の小さな声が聞こえる。彼女は声が小さく、そこも守ってやりたいと思う要因である。金本君が熱を上げるのも頷ける。

「どうしたのかね?」

 私は白々しく彼女の首を撫でる。彼女は体を強張らせた。その手を顎まで持っていき、下を向いている彼女の顔を持ち上げた。

「美しい」

 私は思わずほうっと熱い溜め息を吐く。

「君、私の秘書にならないか?」

 ずんずんと彼女に迫り、彼女が後退することを繰り返していたら、彼女が壁にぶつかった。その拍子に彼女が持っていた紙の束が散らばった。彼女が力を入れて握っていたせいで跡が付いてしまっている。

「ああ、大事な書類なのに」

「す、すみません……」

 後半は聞き取れないほどの声だった。

「いや、いいんだよ」

 ニコリと笑う。我ながら、とても素敵な笑顔だったと思う。しかし、彼女はさらに恐怖の表情を浮かべた。

 それ以降、彼女が社長室に入ってくることはなかった。

 私のやり方が少し強引だったのかもしれない。彼女を手に入れるために計画を練り直すことにした。

 私は彼女に対して愛情を抱いている。それは今もだ。だから、練りに練った計画を生み出した。

 今日は彼女が来る日である。

「おはようございます」

 小さいけれどはっきりと聞こえる馴染みの声が聞こえる。美紀さんである。

「おはよう、美紀さん。今年もよろしくね」

 美紀さんは体に力が入っている。ガチガチに緊張しながら私には接するのは、社長室での一件以来だ。

「よ、よろしくお願いします」

 丁寧に頭を下げる彼女に私は笑顔で応えた。

 朝の朝礼で臨時パートさんたちに説明をする。そして、各自の配置についてもらう。そこには社員もいて、わからないことがあれば聞けるようになっている。

 美紀さんがオロオロしている。彼女だけ配置を言い渡されていないのだ。

「ああ、美紀さんはね、私の秘書業務。前にしたことあるでしょ?」

 その言葉を聞いた瞬間、彼女の顔が真っ青になった。

「いえ、そんな。私には荷が重いです」

「社長命令が聞けないと?」

「そ、そうではありませんが……」

 彼女の声が段々と小さくなる。社長には逆らえないことはわかっているだろう。おそらく彼女は以前の経験を思い出しているに違いない。

 『金谷美紀、愛人化計画』は今始まったのだ。

 社長室に入るなり、彼女の席はあそこだと私の机の隣を指さすと、彼女は戸惑いの表情を見せた。

「あの、前は扉に近い場所だった気がしたのですが」

「あんなところに机を置いておいたら、私が指示を出すときに大声を上げなければならんだろう」

 彼女は一応納得したらしかった。

「美紀さん、今日から君は私の秘書だ。私の言うことに忠実にな」

「は、はい、わかりました」

 内心では嫌がっているらしく眉間に皺が寄っている。理解が追い付いていないのだろう。その理解が追い付いていないところに私の罠がある。あらゆる理不尽を浴びせることで考えることを放棄させようという魂胆だ。

「じゃあ、まずは肩をもんでもらおうかな?」

「か、肩ですか?」

「そうだよ、こうやって」

 美紀さんを私の椅子に座らせると、肩を揉み始める。

「あ、あの! 私が揉みますので、社長がお座りになってください」

「まあまあ。お、ここが凝りが凄いな」

 私は肩を肘で押すために顔を彼女に近づける。私の熱い息が彼女の首筋にかかっているに違いない。その証拠に彼女は体を固くしている。

「そんなに固くならないで」

 諭すように彼女の肩をそっと撫でる。もちろん、息は首にかけたままで。

 美紀さんの耳は真っ赤になっている。顔も真っ赤だろう。

 ぷるぷると震えているところが加虐心をそそる。

 そこにコンコンと扉がノックされる音が響く。

「どうぞ」

 入ってきたのは金本君だった。妻が社長の椅子に座っていることを不思議に思っていながらも、私に問うことはなかった。

「妻は頑張りすぎるところがあるので、どうかよろしくお願いします」

 ペコリとお辞儀をして、部屋を出ていった。

 耳元で低い声で囁く。

「社長命令だから、さっきのことを口外したら、旦那さんがどうなるかわかっているね?」

 彼女は首を何度も縦に振った。

 落ちたな。

 私はにやにやと笑っているに違いない。

 その日から美紀さん、いや美紀は私のものとなった。

「美紀、今晩食事でもどうかね」

「夫の仕事次第です」

「ふむ、それならあいつには仕事をたらふくやらんとな」

 金本君を呼び出して、必要のない書類整理をさせた。

 彼が残業をしている間、私たちは料亭で舌鼓を打っていた。ここはそれほど値が張る店ではないが、とにかく海鮮が美味い。

「どうだ、美紀。ここのマグロは美味いだろ」

「はい、とてもおいしいです」

 私は酒を浴びるように飲む。美紀は遠慮しているのかそれほど飲んでいない。

「君はもっと飲めると聞いたことがあるがね」

「最近はあまり飲みません」

「何故だ?」

「主人があまりいい顔をしないので」

 なんだ、そんな理由か。私は女将を呼ぶと、もっと酒を持ってくるように言った。

「そんなに飲んだら、主人にバレます」

「それなら酒が抜けるまで一緒にいたらどうだ」

「え?」

 美紀はガチと体を緊張で固くし、次にはプルプルと震えだす。

「帰らせてください」

「社長命令が聞けぬと言うのか」

 それとこれとは別の事情があると美紀は反抗した。

「そんなことを言っていたら、金本君の進退はどうなるんだろうね」

 お猪口を右手で回しながら、彼女をちらっと見た。彼女の顔は真っ赤で、まるで初めての女のようだった。

「最近、旦那とは寝たのか?」

 彼女は小さく首を横に振る。

「寂しくはないのか?」

 彼女はもう一度横に振る。

 しつこく問答をしていると、彼女に明確な変化が訪れた。
日本酒をごくごくと徳利から直接飲み立ち上がった。

「帰るのか?」

「私、あなたの愛人になるつもりはありませんが、今回だけなら」

 生まれたての姿になった彼女のラインはとても美しかった。

 ホテルの淡いルームランプに照らされ、彼女はこちらへゆっくりと歩み寄る。私は彼女を抱きしめると、適度な弾力を持った肌に指が沈んだ。

 恥じらいながらも彼女は上手かった。旦那と寝ていないのがもったいないくらいだ。

 私は彼女に翻弄されながら、深い意識に飲み込まれていった。

 私はそれからも彼女と肌を重ねた。私が夢中になってしまったのだ。

 今は金本君に仕事を与えることで彼女との逢瀬を楽しんでいる。今度の彼のボーナスは多く出してあげよう。

 臨時パートだったはずの美紀は常駐の秘書として、私の隣にいる。

「これからもよろしくな、美紀。わはははは」

 私の計画は完璧だったので、完遂ついでに豪快に笑った。

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