「幼馴染の義兄」
ずっと胸に秘めてきた想い。それを言葉にしたとき、何が起こるのかわかっていた。だから、私は溢れそうになる想いに一生懸命蓋をしていたはずだった。
私は里奈という30歳の会社員です。仕事はイラストレーターで、印刷会社に勤めています。
昔から絵を描くのが好きな引っ込み思案な子で、活発な姉とは正反対な性格をしています。一度も姉に勝てたことはありませんでしたが、2歳上の姉とは良好な関係を築けています。
姉は半年前に結婚をし、家を出ていきました。相手は悟さんという幼馴染です。
私は悟さんのことを「おにいちゃん」と呼んでいます。
私と姉とおにいちゃんは幼稚園の時からの仲で家も近く、毎日のように遊んでいました。姉がバスケットボールを、おにいちゃんは野球を始めてからは交流が一時途絶えました。二人とも成長して、自分の道を歩み始めたのです。
そんな中、自分は家に閉じこもりひたすらに絵を描いていました。二人が家から連れ出してくれない限り、私は外に出ようとはしなかったのです。
ある日、ブオンという音がしたので、窓から外を見てみるとおにいちゃんがバイクに乗っていました。私は階段を急いで下って、外へ出ました。
「よお、里奈」
久しぶりに会ったのに、気さくに声をかけてきます。バイクにまたがるおにいちゃんはとてもかっこよくて感嘆してしまいました。
「すごいね、おにいちゃん。かっこいい!」
「そうかそうか。後ろに乗ってみる?」
「いいの?」
「ああ、あいつには内緒だぞ」
おにいちゃんは人差し指を立てて「シー」としました。あいつとはおそらく姉のことだと思います。
私はヘルメットを貸してもらって被りました。そして、おそるおそるバイクの後ろにまたがります。
「ちゃんと捕まってるんだぞ」
「うん」
おにいちゃんがバイクを静かに発進させました。
自転車よりも速く走るバイク。私はいつもより速く流れる風景が面白くて笑顔になりました。
思えばおにいちゃんといる時は私はいつも笑顔です。姉に嫌なことを言われた時も、おにいちゃんに会えば笑顔になれるのです。
私はバイクに乗りながら、おにいちゃんに感謝するように体をぴっとりとくっつけました。
「どうした?」
「なんでもないの」
私はおにいちゃんの広い背中に男の人を見ました。
(ああ、私はもしかしたら)
その時、おにいちゃんに対する恋心が芽生えました。
しかし、私は知っていました。おにいちゃんは姉が好きなのだということを。そしてまた、姉もおにいちゃんのことが好きなことを。
私は最初から敗者なのです。
姉が大学生になり東京へ進学すると、私は積極的におにいちゃんに会いに行きました。
私と姉はおにいちゃんの家に勝手に入ることを許されているので、ガレージでバイクをデッサンしていました。そこへ仕事からおにいちゃんが帰ってきて、「おお」と挨拶をしました。
「里奈は絵が上手いな。将来は画家になるのか?」
「さすがになれないよ」
「そんなことない。里奈ならできるよ」
そう言って、私の頭を撫でました。子ども扱いをされているようだったので、私は思わず立ち上がって家へ走って帰りました。
私にも進路の問題が出てきました。私は美大へ進みたかったけれども、父は普通の大学へ進学しなさいと強制してくるのです。
私はおにいちゃんの家に逃げて、めそめそと泣きました。
仕事で疲れているであろうおにいちゃんは私に寄り添ってくれます。
「里奈は本当に美大に行きたいか?」
「行きたい」
「なら、決まりだな」
私はおにいちゃんを連れて家に帰りました。
玄関でいきなり土下座をし始めるおにいちゃん。
父と母はなんだなんだと土下座をするおにいちゃんを見ました。
「里奈を、美大に入れさせてあげてください」
「君には関係ない話だろう」
父がおにいちゃんに頭を上げるように言いましたが、逆におにいちゃんは額をコンクリートに押しつけます。
「里奈には才能があります。絵を見たことがありますか?」
「いや、ないが……」
「一度見てあげてください。そうすればわかりますから」
おにいちゃんは立ち上がって一礼をして、家から出ていきました。
「里奈」
「は、はい」
「絵を見せなさい」
私は今まで描いてきた絵を父と母に見せました。
「まあ、昔から絵が上手いとは思っていたけれどここまでとは思わなかったわ」
母がとても感心したように私の絵を見ます。
父はしばらく黙った後、静かに口を開きました。
「里奈のやりたいことは分かった。条件として、お姉ちゃんと一緒に暮らして、そこから通学すること。分かったね?」
「ありがとうございます」
私は急いでおにいちゃんの家に行きました。おにいちゃんが家から出てくると、首に抱き着きました。
「ありがとう、おにいちゃん」
「俺は何もしてないよ。里奈の絵が良かったからだ」
にっとおにいちゃんは笑いました。私は笑いながら涙を流しました。
「でも、これだとおにいちゃんと離れちゃうね」
おにいちゃんは地元で、私は東京で暮らします。就職も東京でするなら、いつ帰ってこられるかわかりません。
そう思ったら、私は行動に出ていました。
おにいちゃんに軽くキスをしたのです。おにいちゃんは驚いた表情をしていました。
「お礼のキスだよ」
言い訳を言えた自分を褒めてあげたいくらいです。でも、本当は本気のキスでした。
好き。
その想いをこめたキス。
私はさっとおにいちゃんから顔を逸らすと、「じゃあね」と小さく呟いて家に帰りました。
私は無事に美大に進学し、そのまま東京で就職しました。姉は地元に帰って就職をしました。
姉が帰ったことで、おにいちゃんとの仲が進展することは手に取るようにわかりました。 元々、二人は好き合っていたのですから。私が入る余地などなかったのです。
私は家に帰って現実を見るのが怖くて、帰省しませんでした。なんて臆病なんでしょう。「なんで帰ってこないんだ?」
おにいちゃんからたまにメッセージが届きます。私は電話をして、おにいちゃんの声を聞きたいのを我慢して、メッセージを送りました。
「仕事が忙しくて」
「そうか。あまり無理するなよ」
優しいおにいちゃん。私の嘘にも優しく本音を返してくれます。
「ごめんね、おにいちゃん」
私はベッドに寄りかかって膝に顔を埋めました。
ある日、姉が家に来ました。大変興奮していたので何事かと思ったけれど、姉の大好きなハーブティーを淹れると大分落ち着いたようでした。
私はタイミングを計って、姉にわざわざ地元から出てきた理由を訊きます。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「悟と結婚することにしたよ」
私は驚きませんでした。遅かれ早かれ、というより、私の中では二人の婚約報告は遅いくらいです。
「いつ式を挙げるの?」
「来年」
「随分先なのね」
姉はフンと鼻を鳴らしました。
「あんたが帰ってこないから知らないだろうけど、悟のお父さんが亡くなったのよ」
「おじさんが?」
だから一年待とうということです。おじさんもおにいちゃん同様に私に優しくしてくれました。そんな、おじさんが亡くなるなんて、私にはショックでした。
「あんたもそろそろ帰ってきたら?」
「じゃあ、お姉ちゃんの結婚式で戻るね」
仕事があると言って、姉は帰っていきました。
姉が帰った後、私は抜け殻のようになってベッドに倒れこみました。
おにいちゃんは姉のものになってしまう。
姉と話しているときに出なかった涙がつーっと流れました。
姉の結婚式は田舎の結婚式だけあって、盛大に行われました。
美しいウェディングドレスに身を包む姉と白いタキシードを着たおにいちゃん。とてもお似合いの二人でした。
二次会になり、私は端っこの方でちびちびとお酒を舐めました。
「ちょっと、里奈~!」
ふわふわとした姉の声が聞こえます。姉の元へ行くと、おにいちゃんが酔いつぶれていました。
「悟が寝ちゃったから、送っていってほしいの。私はまだここにいなくちゃいけないから」
「時間が経てば起きるんじゃない?」
「ああ、ダメダメ。悟がこうなったら最後」
仕方なく私はおにいちゃんを背中に背負ってヨタヨタと歩いて帰りました。おにいちゃんは体を鍛えているらしく、硬い筋肉が私の背中に当たります。昔、バイクに乗せてもらったときのことを思い出しました。
あの時の広い背中が今、私の背中に乗っていることがおかしくてつい笑ってしまいます。
やっとの思いで、おにいちゃんと姉の新居にたどり着き、おにいちゃんをベッドの上にそっと寝かせました。
スースーと寝息を立てるおにいちゃん。
昔と変わらない顔に、私は涙を流しました。優しくてたくましいおにいちゃん。私が好きなおにいちゃん。
私がおにいちゃんと同い年だったら、おにいちゃんは私の方を好きになったのかなと思いました。
そう考えると、2歳という年齢差が憎く感じられました。
私は姉への嫉妬として、おにいちゃんの唇にそっとキスをしました。唇を舐めたり、はむはむと唇で挟んだり、10年前とは違う大人のキスです。誘うようにバードキスを繰り返していたら、おにいちゃんが急に起き上がって、私の首に腕を回しました。
そして、私の口内に舌を入れてきて、口の中を舐めまわします。私は息が苦しくなっても、おにいちゃんを受け入れました。キスに集中していたら、いつの間にか、おにいちゃんが私の服に手をかけていました。
お互いに顔を離すと、おにいちゃんのギラギラとした目があり私は心が跳ねるのを感じました。
「里奈、いいのか?」
「うん、いいの。おねが……ん」
言葉の途中でおにいちゃんは私の口を塞ぎました。
「俺は……苦しんだんだ」
「何に?」
「お前か、あいつか、選べって言われているようで」
私もおにいちゃんの恋愛対象に入っていたことを嬉しく思いました。
「何故、私を選んでくれなかったの?」
「それは、里奈は俺に興味ないのかなって」
「そんなことないよ! 私はおにいちゃんが好きだよ」
私はおにいちゃんの胸の中に飛び込みました。
「ねえ、お願い」
私はおにいちゃんと初めて一緒になりました。
「ただいま」
姉が帰ってきました。あんなに飲んでいたのに、姉はちっとも顔色を変えていません。お酒に弱い私と本当に正反対だなと思いました。
「おかえり。水飲む?」
「そうしようかな」
姉に水を渡します。
私はバッグを持って玄関へ向かいます。
「じゃあ、もう帰るね」
「もう少しいればいいじゃない」
「もういいの」
訳がわからないという姉の表情。 私は初めて姉に勝つことができました。
数年後、仕事では、私のイラストレーターとしての腕が評価され、今度個展が開かれることになり順風満帆にいっていました。あれ以降田舎には帰っていません。
個展の事をどこかから知ったのかおにいちゃんから「元気してるか?だから里奈は画家になれるって言っただろ?」とメッセージが入っていました。それを見た私は画家じゃないんだけどなと笑っていると、
「ママー何笑ってるの?」とお兄ちゃん似の息子が抱きついてきました。
「ううん、何でも無いよ」と息子を強く抱きしめました。
むふふな画像
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