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「二人の妻」 作:ひよ
「わかっていても」
「おはよう。由美子」
既に目を覚ましていた涼さんが、私を呼びました。
「おはようございます。あなた」
そう返すと私は涼さんに体を寄せました。
私と彼は微笑み合い、ふたりの胸は幸福感に満ちています。
私たちはベッドで寄り添うごく当たり前の夫婦に見えることでしょう。
そう、私が彼の二人目の妻ということ以外は。
~・~・~・
涼さんと私が出会ってからもうすぐ2年になります。
出会いは私の怪我からでした。
友人との外出中に、私は駅の階段から落ちて頭を打ってしまったのです。
おぼろげな意識の中で、スーツ姿の男性が駆け寄ってきて介抱してくれたということを覚えています。
スーツ姿の男性は、パニック状態で何も出来ない友人をまず落ち着かせました。
そして救急車が来るまでの手続きをテキパキとこなしていたと、後日友人から聞きました。
彼のおかげで救急隊は迅速に到着し、私は救急車で病院に運ばれました。
私が入院していた病院の方によると、対応が遅れていたら後遺症が出る可能性が高かったそうです。
頼れる家族のいない私には、働けなくなって収入がなくなるのは死活問題でした。
私にとって、あの男性はまさに命の恩人だったのです。
退院後、私は命の恩人である彼に、どうしてもお礼を言いたくなりました。
私と友人が覚えている彼の外見の特徴を照らし合わせました。
その特徴をもとに、私は助けてもらった駅で彼を探すことにしました。
正直に言うと、ほとんどダメもとでした。
休日の何日もが無駄になりました。
諦めかけたある日、おぼろげな記憶と照らし合わせて、あの印象と一致した人がついに現れました。
「あの、すみません!」
私は急いで駆け寄り、彼に声をかけました。
「すいません、急いでいるので」
と彼は目も合わせずに去ろうとしました。
「待ってください!私、この前、貴方に助けてもらったんです!」
その言葉でようやく彼は私を見てくれました。
「ああ、あの時の……」
彼は気づいて、驚いた表情をしていました。
「私が今ここにいられるのはあなたのおかげなんです。命の恩人です」
「そんな、言い過ぎですよ」
彼は謙遜してそう言いました。
「言い過ぎなんかじゃないです。貴方がいなければ私は……」
彼に私がどれだけ感謝しているかを伝えるために、その後食事を共にすることになりました。
彼は最初遠慮していましたが、私の熱量に負けて付き合ってくれることになりました。
彼は涼という名前でした。
36歳の会社員で、先月から都内での勤務になったそうです。
趣味は身体を動かすことで、一番好きなのはテニス。
一緒に食事をしながら話してみると、想像より素敵な人でした。
手当てが遅れていたら……と病院で話されたことを伝えると、
「由美子さんが無事で良かった」
彼はそう言って微笑みました。
それはきっと本心からの言葉で、彼の善性が垣間見えました。
そして私は、涼さんのことを知れば知るほどに好きになっていきました。
外見も好みでしたが、何よりも、彼の優しさに惹かれたのです。
見ず知らずの人のためにあそこまで出来る人はなかなかいません。
彼の何気ない会話からも誠実さが伝わってきます。
彼が他人の気持ちを思いやる姿を見るたびに、私の心はさらに惹かれていきました。
ある日、仕事が終わった後にまたふたりでゆっくりと食事をする機会がありました。
その時、涼さんが子どもの頃の話や家族との思い出を語ってくれました。
彼の言葉一つ一つから、深い愛情と優しさが感じられて、私はますます彼に引き込まれました。
「涼さんって、本当に素敵な人ですね」
と私が言うと、涼さんは少し照れたように笑って答えました。
「そんなことないよ。ただ、君の前では自然にそうなってしまうだけ」
その言葉に胸がドキドキして、自分でも驚くほど顔が赤くなっているのがわかりました。
その夜、帰り道で彼と並んで歩きながら、この人と一緒にいるともっと幸せになれる気がする、そう思いました。
それからも、涼さんとの時間は増えていきました。彼との会話、笑い合う時間、共に過ごす瞬間すべてが、私の心を満たしていきました。
彼といるだけで、どんな困難も乗り越えられる気がしたんです。
この人と出会えて、本当によかった。
この先も彼と一緒に、幸せな時間を積み重ねていきたい。
そんな思いが、私の胸に強く芽生えていました。
涼さんは、私の仕事が遅くなってしまったときにも、食事に誘ってくれました。
一緒に行動しているだけで彼の素晴らしい人間性がしみじみと伝わってきて、 私はとても温かい気持ちになれたんです。
交際していて、こんなに幸せな気持ちになるのは初めてでした。
思えば私の人生における恋愛運はダメダメで、薄情な元カレに酷い振られ方をしてから恋愛が怖くなっていました。
でも私は30代後半に差し掛かる年齢ということもあり、結婚願望もありました。
きっと、涼さんなら私を幸せにしてくれる。
一緒にお酒を飲んでいる時に、彼に告白しました。
「涼さん、好きです。結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
涼さんは少し考えてから、
「……そうだね。俺も君のことが好きだよ」
と優しく笑ってくれました。
涼さんと一緒に、お互いを幸せにして、歳を重ねていきたい。
その気持ちが伝わって、私はこの上なく満たされた気持ちになりました。
そうして、私たちは交際をスタートしました。
涼さんと私は住んでいる場所も勤務先も近かったので、私たちは同棲することに。
彼の好きな料理を作ってあげることはもちろん、一緒に色んな映画を見に行ったり、日曜日は彼の趣味であるテニスをしたり、夢のような日々を送りました。
「涼さん。そろそろ私たち、結婚しませんか?」
出会ってから暫く経ったある日、私は彼に告げました。
彼は少し考えるような顔をしましたが、すぐに口を開きました。
「もちろん。」
彼が私のプロポーズを受け入れてくれた事実が信じられませんでしたが、それ以上に嬉しかったのを覚えています。
彼のような素晴らしい男性が、私と結婚してくれるなんてまさに奇跡であり、同時に運命でもあると思いました。
「ただいま」
私より遅く帰宅した彼は、いつも通り私に優しく微笑んでくれました。
「おかえりなさい」
私は彼のことが愛おしくてたまらなくなり、抱きつきました。
彼も私を強く抱き締め、私たちは見つめ合いました。
「愛してるよ」
と彼は囁きました。
「俺には、君だけだ」
私は胸がいっぱいになりました。
「私もです」
「ずっと、一緒にいてね」
彼は私にキスしました。
私たちは長い間、キスをし続けました。
それから私たちは一緒にシャワーを浴びて、体を洗い合いました。
そしてベッドルームに戻ると、独特の雰囲気が流れます。
お互い明日は休みでしたし、今日は結婚を誓ってからはじめての夜です。
それにふたりとも、考えていることは一緒でした。
私たちがするのは初めてですから、初夜のようなものです。
「……あ、あの……やさしく……してください……」
恥ずかしさから消え入りそうな声で頼むと、彼は私をベッドに押し倒すなり覆い被さってきました。
そして、私たちはまた何度も口づけを繰り返しました。
まだかすかに残る恥じらいから軽く押し返すと、彼は興奮したのかさらに激しくがっついてきました。
「ああっ!」
私の股の間に顔を埋めた彼は、強引に私の秘部を舐め回しました。
そして、さらに指を入れてこようとしましたが……。
「だ、だめっ!」
思わず口にしてしまっただけで、本心はもっと、もっとと求めています。
普段は優しい彼の変化に私はすごく興奮して、私の秘部はすごく濡れてしまっていました。
「お願い、もっと……もっとして」
私は彼に懇願しました。
「わかった」
彼の指は私の中で激しく動きました。
そして、私の体はその快感で何度も跳ね上がりました。
「あっ、あっ、ああん」
彼の指が動く度に、私の体はどんどん熱くなっていきました。
そして、ついに私は絶頂を迎えてしまいました。
彼は私の体を抱きしめながら囁きます。
「愛してるよ、由美子」
私も彼をぎゅっと抱きしめて、彼の耳元で囁きました。
「私も……」
そして、私たちは朝まで愛し合いました。
翌朝目が覚めると、隣には彼がいました。
彼は私を愛おしそうに見つめています。
「おはよう、由美子」
「おはようございます、涼さん」
私は彼に抱きつきます。
私は彼の体温を感じながら幸せを感じました。
もう絶対にこの人を離しません。
彼は私のものです。
誰にも渡さない。
私は彼の胸に顔をうずめながら、そう心に誓いました。
こんなに幸せでいいのかな、なんて考えてしまうほどに私の胸は幸福感に満ちていました。
私が彼を見つめていると、涼さんはなにやら深刻そうな面持ちで話を始めました。
「君に謝りたいことがある」
「俺には、妻がいるんだ」
私はとてつもない衝撃を受けました。
ようやく幸せになれるものだと思っていましたから。
この人は愛する妻がいながら、私と交わったのです。
私が唖然としていると、彼は言い訳がましいことを並べ始めました。
妻に悪いと思いながらも、魅力的な私のアプローチを断り切れなかったこと。
親戚付き合いの関係で、妻との離婚はできないこと。
妻も、私のことも愛しているということ。
彼が犯した罪の重さからすると、完全に保身からの言葉でしかありませんでした。
でも不思議なことに嫌悪感は無く、私の中には変な感情が芽生えました。
この人は既に結婚していて、妻がいる。
その背徳感からかえって興奮してしまう私がいました。
それに、心から愛する彼を嫌いになれるわけが無かったのです。
今も彼との関係は続いています。
本当はやめなければならない関係だとわかっています。
もし妻にバレてしまったらと思うと、とても怖くなります。
でも、やめられないんです。
いけない事だとわかっていても、このスリルがたまらなくて、病みつきになってしまっているのです……
むふふな画像
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