価値観の違い 作:ひよ
私は麻衣子といいます。
ぎりぎり30代前半で、一か月前にデザイナーの彼に振られて、今はフリーです。
趣味が芸術鑑賞なので、芸術的な人に惹かれる性質なんですよね。
広告代理店で毎日忙しく働いていて、仕事に特に不満はありませんが、心の奥底にはいつも満たされない何かがあります。
マッチングアプリでだらだら相手を探しても収穫はないけど、幸せになりたいので結婚はしたい。
そんな気持ちで毎日を送っていたある日、運命的な出会いがあったんです。
あれは仕事で大手クライアントとの打ち合わせに行った帰り道のことでした。
普段は行かないカフェにふと立ち寄ったんです。
人気チェーン店なので店内は混雑していました。
私は仕事の疲れのせいか、テーブルにつくまでの通路でよろけてしまいました。
転びそうになったその時、男性が支えてくれて事なきを得ました。
私は慌ててお礼を言った後に何度も謝りましたが、男性はお気をつけて、と私に声をかけて店の奥に消えてしまいました。
もっとちゃんとお礼を言えば良かったかな、と思いながら列に並ぼうとしたその時です。
「綺麗なお姉さん、よければ一緒にいかがですか」
明るい声に顔を上げると、さっき私を支えてくれた男性が二人分のコーヒーを持って私の前に立っていました。
爽太と名乗った男性は写真家をしているそうで、明朗な話し方が特徴的でした。
そして爽太さんの実年齢を聞いた私は驚きました。
彼は40歳にも関わらず。20代後半にも見えるほどの若々しさだったからです。
特に目の輝きは少年のようで、それは私にはとうに失われたものでした。
彼は写真家のなかでもワイルドな部類のようで、世界中を旅しているそうです。
美しい風景や人々の写真を撮ってカメラに収めていると話す彼は、いきいきしていました。
写真家という仕事が心から楽しいんだろうな、と思って羨ましくなりました。
私は仕事に特に不満はないけど、心から好きでやっているわけではありませんでしたから。
それから私たちは、様々な芸術作品についての話をしました。
彼はメジャーなものならほとんど知っていて、会話はとても弾みました。
不思議なことに、私たちは初めて会ったはずなのに、ずっと昔からの友人のような気がするほどフィーリングが合いました。
それと同時に、私の心の奥底にある満たされない気持ちをこの人なら埋めてくれるかも、と感じました。
私たちは連絡先を交換し、何回もデートをしました。
趣味も合うし、話していて楽しい。
私は生まれて初めて、心から好きになれる男性に出会えた気がしました。
でも、この人に抱かれたらどんな気持ちになるんだろう?
私は思わず想像してしまいました。
そしてある日、彼からお誘いがありました。
「今度の週末に旅行に行かないか?」
と言われたのです。
私はもちろん即OKしましたし、その日が待ち遠しくてたまりませんでした。
想像通り、彼と過ごす時間は、とても幸せでした。
彼は私に色々なことを教えてくれました。
芸術のこと、旅先での体験談。
そして何よりも、彼の優しさと明るさが私を癒してくれました。
旅行の最後の日、私たちは一緒に湖に行きました。
湖のほとりで、彼と一緒にいられる時間が愛しくてたまりませんでした。
彼の妻として、これからもずっと一緒にいられたら。
そう考える時間が日に日に増えていきました。
旅先のホテルに帰り、私たちは結婚についての話をしました。
周りが20代で結婚してしまったのもあって、私も結婚への憧れがある、といったことを話しました。
「うーん、僕は結婚は望んでいないんだ」
それは私にとってかなりショックな言葉でした。
結婚イコール幸せという時代ではないのは分かっています。
それでも、結婚には憧れがありました。
昔から、純白のウエディングドレスを着てみたかったんです。
「それはどうして?」
「僕はね、極論を言うと結婚はしてもしなくてもどっちでもいいんだ。ただ、子供は欲しい」
「子供?」
想定外の答えに驚いている私をよそに、彼は続けました。
「うん。子供がいれば、僕はもうそれで満足なんだ」
私は彼のその考え方に少し不安を覚えましたが、同時に尊敬の念も覚えました。
彼は自分の人生をちゃんと見据えていて、自分が何をしたいかをはっきり知っているのだと。
「子供が欲しいだけ? 奥さんは?他には何も望まないんですか?」
私は不安そうな声を出してしまいました。
すると彼は言いました。
「前はそう思ってただけだよ、今は君がいてくれたらそれで良い」
そして彼は私の肩に手を回しました。
私は彼に愛されていることを実感して、喜びが湧き上がってきました。
その夜、ホテルの大きいベッドで私たちは唇を重ねました。
彼が手を動かすと私のナイトワンピースがめくれあがり、白い太ももが露わになります。
「麻衣子、綺麗だよ」
彼が私のショーツに手をかけます。
「ダメ……私、まだシャワー浴びてないんです」
私はか細い声で言いました。
「いいよ、そのままで。君の匂いを感じたいんだ」
彼がショーツを引き下ろし、私の脚を広げていきます。
彼の優しい愛撫とキスで蕩けてしまった私にはもう逆らう力はありませんでした。
「愛してる……麻衣子」
彼はそう囁くと、ゆっくりと私の中に入ってきてくれました。
「ああ……っ」
彼の熱いものが入ってきた瞬間、私は思わずのけぞってしまいました。
私の中はもうすっかり潤っていて、彼のものを迎え入れるのに何の支障もありませんでした。
彼は私を強く抱きしめると、激しく腰を打ち付けはじめました。
「ああっ!あっ、ああん!」
私は彼にしがみついて大きな声を出しました。声が抑えられないのです。
今この瞬間が幸せすぎて、どうにかなってしまいそうです。
彼は何度も愛の言葉を囁いてくれました。私もそれに応えるように彼の名前を呼びました。
「好き……愛してる……」
私は彼の背中に爪を立てながら、うわごとのように呟き続けました。
「僕もだよ」
彼が私の耳元でささやき、さらに激しく突き上げてきます。
「ああ!すごいっ!」
あまりの快感に私は我を忘れて叫びました。
「麻衣子、もう出そうだ……」
彼は苦しそうな声で言いました。
「来て!私の中にいっぱい出して!」
私は夢中で叫びました。
彼がうめき声を上げた瞬間、私の中で熱いものが弾け飛びました。
それと同時に、私も大きな絶頂に達して全身が痙攣してしまいました。
しばらく私たちはそのまま抱き合っていました。
お互いの心臓の音がドクンドクンと聞こえます。
それだけでも幸せでした。
やがて落ち着いた彼はゆっくりと体を引くと、私の隣に横たわりました。
彼は優しく私の髪をなでながら、何度も愛の言葉をささやきました。
その素敵な言葉を聞きながら、私は彼の胸に顔を埋めました。
デートの待ち合わせ場所にいくと、彼はバラの大きな花束を持っていました。
「結婚願望は無かったんだけど……やっぱり結婚したくなった。ウェディングドレスを着た君を見てみたくなったよ」
そう言うと、彼は茶目っ気たっぷりに笑いました。
私のために考えを変えてくれた彼の優しさに、私は泣きだしそうでした。
彼は、涙が零れそうになっている私の涙を拭ってくれました。
私はバラの花束を受け取り、彼の腕にしがみついて目を閉じました。
来年になったら、爽太さんとともに海外へ移住する予定です。
そこで結婚式をあげて、私たちは永遠に結ばれます。
彼の写真家の活動を応援するために、私も現地で新しい仕事を探すことにしました。
慣れない環境での生活になりますが、彼と一緒なら、何でもできる気がしています。
むふふな画像
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